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 配合について サラブレッドの生産 ごあいさつ 管理人室 リンク
アマートベン(メジロライアン)
 ここでは、生産のしくみについて、簡単に話します。
 サラブレッドの生産は、競馬を上がった馬が牧場に戻った所から始まる.
 全部の牝馬が戻れる訳では無く、4千頭以上生産された内の千二百程度
(JRA六百五十、NRA四百十、輸入)に過ぎません.
どんな馬が上がって来るかと言えば、当然の事ながら良血馬、
競走成績の優れたもの、更には馬主さんが是非、仔を取ってみたいと思う馬などがいます。
 繁殖馬の所有形態ですが、馬主さんがそのまま所有し、月々の預託料をはらうもの、
或いは、出来た仔を分けるやり方。もう一方は、牧場が買い取って所有するものです。
 
さて、繁殖が来ると早速種付けの心配です。
これが一番の楽しみで有り、悩みの種にもなります。
基本的には、あまり強い近親以外は何でも種付け出来ますが、
「配合について」のところでお話した様に、色々考えて決めます。
春の種付けシーズン(2月〜7月)になると、牝馬は3日〜7日の発情
(3週間に1度)を見せ、落ち着きが無く、牡馬を近づけても蹴らなくなります。
獣医さんが検査をして、最良と思われる日に、牝馬をトラックに積み込み、
種馬のいる牧場へ移動して種付けをして帰ってきます。
ちなみに、当場から社台スタリオンまでは片道2時間半の距離ですので、
種付けに行って来ると6時間はかかります。

運良く受胎すると、妊娠期間は11ヶ月なので、5月に受胎すると翌年の4月に出産しますが、
その間の心配は、流産の事です。
馬は、仕組み上流産の起きやすい動物です。
しかも、最近はウイルスによる流産も有り油断出来ません。

翌年の春になり予定日が近づくと、今度は人間もそわそわします。
出産の時が一番事故も多くなるので、何日も前から不寝番に入ります。
これだけ苦労するのですから、無事生まれた時の感激もひとしおです。
ああ〜無事で良かったと思うのですが、やや時間が経つと冷静になり、
産まれたのが牝馬だったり、脚が曲がっていたりすると、どうやって売ろうかと考え、
良い牡馬を期待していた私はガッカリします。

産まれて数日の当才
 
 父Boston Horber
 母シークレッツトールド
    
 キーンランドのセリで初めて買った
 私の宝物。



仔馬が産まれて十日もすると、母親はもう種付けの時期です。
仔馬共々トラックに積んで種付けに行きます。
春から秋までは、当才にとって母親に甘えて育つ楽園のような時期ですが、
秋には寂しい親との別れが待っています。

仔分けも生産者にとっては大切な時期で、これが済むと
仔馬にも精神的な変化が見られます。
 
左)
父メジロライアン
母トクノグリーン        

右)父メジロライアン 母シーサイドギャンブル  右下)同馬の2才時



下)父メジロライアンー母スマートギニー


一冬越え2才になると、身体もグングンと大きくなり、逞しくなります。
それに伴いやんちゃ坊主なり、ケガの心配をさせられます。

夏にはセリにかけられ行き先も決まると、秋には育成牧場へと移動します。ここからは、試練の時です。
人を乗せるという本来嫌いな事を強いられます。
2才の秋から3才の春までに、競走馬としての調教が課せられ、
夏にはデビューする者もいます。

競走馬として能力を見せたものは、繁殖馬として上がって来るでしょう。     (2000年1月記)

下)昨年休養中のアマートベン(ノーザンファームにて